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消滅時効の援用について

2016年04月25日

桜の季節が終わり、新緑の季節となりました。目に映る景色もピンク色から若草色に変わりました。
個人的には、これから夏に向けての季節が一番大好きです♪

さて、平成27年10月からマイナンバーが導入されて以降、増えてきたお問合せが「かなり昔に貸金業者からお金を借りて、ずっと返済をしていなかった。最近、現住所に住民票を移したら貸金業者から督促状や催告書が届いた。どうすれば良いですか?」というもの。

ここで質問!!
Q:貸金業者から督促状や催告書を受領しました。
あなたなら ……… 支払う? or 支払わない?
A:支払う前(貸金業者等に電話する前)に1度、当事務所にご相談下さい。

その理由は…
『消滅時効』の可能性があるからです!!
ところで『消滅時効』って何でしょう…?借金は債権者(貸主)が債務者(借主)に対して一定期間、権利を行使しないと行使することが出来なくなります。この事を『消滅時効』(民法 第167条第1項)と言います。

次に一定期間って、どの位だと思われますか?
1年? 3年?? 実は、貸金業者からの借入であれば5年間(商事債権/商法 第522条)・個人間の借入であれば10年間、返済したり債務の承認をしなければ『消滅時効』は成立します。

★民法 第167条 第1項(債権等の消滅時効)の条文★
1.債権は、10年間行使しない時は、消滅する。
2.債権又は所有権以外の財産権は、20年間行使しない時は、消滅する。

★商法 第522条(商事消滅時効)の条文★
商行為によって生じた債権は、この法律に別段の定めがある場合を除き、5年間
行使しない時は、時効によって消滅する。ただし、他の法令に5年間より短い時効
期間の定めがある時は、その定めるところによる。

では…
その期間が過ぎれば借金は無くなるのでしょうか?
答えはNOです!!いくら、その期間が過ぎたからと言っても黙っていたら借金が無くなる事はありません。
じゃあ、どうすれば良いの…!?貸金業者に対し、『消滅時効』の援用を主張する必要があります。(民法 第145条)
主張すると言っても、一体何をどうやって…?一般的に消滅時効の主張には『時効援用通知』を内容証明郵便の配達
証明付きで貸金業者へ送付する方法を取ります。
そうすることで時効が確定し、債権者の合意が無くても借金は消滅します。

★民法 第145条(時効の援用)の条文★
時効は当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることが、できない。

しかし…
上記期間内に「消滅時効が中断してしまう様な事態」があった場合には、この限りではありません。では「消滅時効の中断事由」(民法 第147条)について、軽く触れておきます。
まず、訴訟等を提起され判決が確定している場合。これは民法 第147条 第1号の「請求」に該当し、時効の中断事由になります。そうなると通常、最終返済日から5年で消滅する時効期間が、裁判が確定した時から10年になります。
(民法 第157条)

★民法 第147条(時効の中断事由)の条文★
時効は、次に掲げる事由によって消滅する。
1.請求
2.差押え、仮差押え又は仮処分
3.承認

★民法 第157条(中断後の時効の進行)の条文★
1.中断した時効は、その中断の事由が終了した時から、新たにその進行を 始める。
2.裁判上の請求によって中断した時効は、裁判が確定した時から、新たにその進行を始める。

次に多いのが、民法 第147条 第3号の承認です。
具体的に例を挙げて見ていきましょう。

①督促状や催告書が届き、慌てて貸金業者へ連絡を入れて、幾らか支払をするパターン。
貸金業者からの督促状には「残元金と遅延損害金を含めて○○円を△月×日迄に
一括で支払って下さい。支払が無い場合には法的手段を取ります。」
と言った文章が書かれていることが多いです。

②貸金業者が直接、自宅に取立てに来て支払をするパターン。
留守の時に訪問され、訪問通知がポストに入っていた。その紙を見ると近日
中に再訪問すると書いてある。近所の目もあるし、家族にも知られたくない。
だから慌てて支払ってしまう。

どちらの場合も、現状を回避したいと思うからこその行動ですよね!!
でも仮に1円でも支払をしてしまったら…民法 第147号 第3号の「承認」に該当して消滅時効が中断してしまいます。

色々と書いてきましたが伝えたい事は、たった1つ!!
もしも『消滅時効』が成立している可能性のある方は・・・
・督促状や催告書を受領しても慌てない。(決して放置しないで下さいね)
・貸金業者に自分から連絡しない。
・自宅へ訪問されても、絶対に支払しない。(相手にしない)
・まずは、一休法務事務所に相談する。

 

当事務所では「時効援用の内容証明」を作成し、貸金業者に対して送付したり、何らかの事情で時効が中断していた場合には、皆様の代理人や書類作成人として、生活に支障が出ない程度での分割和解交渉や、その方にあった債務整理の方法もアドバイスもさせて頂いておりますので、ご安心ください♪

まずは 0120-193-552 まで、お気軽にお問合せ下さいませ。

今回は一休法務事務所 債務整理担当係が、ブログを担当いたしました。